大岩3区 暗誦の会テキスト

「月夜」 杜甫


<元の漢文>

今夜フ州月
閨中只独看
遥憐小児女
未解憶長安
香霧雲鬟湿
清輝玉臂寒
何時倚虚幌
双照涙痕乾

<読み下し文>

今夜 フ州の月
閨中に只だ独り看ん
遥かに憐む 小児女の
未だ長安を憶ふを解せざるを
香霧 雲鬟湿ひ
清輝玉臂寒からん
何れの時か虚幌に倚り
双び照らされて涙痕乾かん

<読み方>
げつや とほ

こんやふしゅうのつき
けいちゅうにただひとりみん
はるかにあわれむ しょうじじょの
いまだちょうあんをおもうをかいせざるを
こうむうんかんうるおい
せいきぎょくひさむからん
いずれのときにかきょこうにより
ならびてらされてるいこんかわかん
(116文字)

<意味概略>
今夜、フ州の月を、
私の妻は寝室から独り見ていることだろう。
可哀想に…幼子は長安で軟禁されている私の身を案じることさえ、まだできないのだ。
かぐわしい霧に濡れてお前の黒髪は潤い、
清らかな月の光に照らされて、玉のようなお前の腕は寒々と輝いていることだろう。
いつになったら二人、帳に寄り添って
月の光を浴びて涙の跡を乾かすことができるのだろうか。


<朗読例> 「左大臣」様提供
http://kanshi.roudokus.com/mp3/getsuya-toho.mp3